アパート経営で木造と鉄骨儲かるのは?【10項目で比較】木造投資の天才大家の実例付き

木造賃貸住宅の大家と聞くとどんなイメージですか? 「空室が多そう」「利回り低そう……」木造はRC造に比べ、ネガティブなイメージが先行しがち。不動産投資家からは資産運用のできない場合が多いとみられやすいです。
しかし、あえて木造物件を安い価格で購入し、収益物件化している大家もいます。ローリスクで高い利回り経営をしているのです。
アパート経営は木造・鉄骨・RC構造などによって費用や経費、家賃設定などさまざまな違いがあります。
そこで、今回の「あぱたい」の記事では、サラリーマン大家が新築と比較すると手が伸びやすい木造に着目。
リターンが見込める不動産投資としての魅力がどこにあるか、鉄骨やRCなどほかの構造と比較しながら解説します。
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木造のアパート経営をはじめるメリット・デメリット
【メリット】 | 【デメリット】 |
建築コストが安い | 劣化が早い |
通気性がいい | 入居者からいいイメージを持たれない |
リフォームがしやすい | 遮音性・耐火性に弱い |
節税になる |
木造と鉄骨系のアパート経営を全10項目で比較!
比較項目 | 木造 | 鉄骨系 |
1.耐用年数 | 短い | 長い |
2.資産価値 | 低い | 高い |
3.空室率 | 高い | やや低い |
4.家賃水準 | 低い | やや高い |
5.建築費 | 安い | 高い |
6.ローン | やや不利 | 有利 |
7.修繕費 | 安い | 高い |
8.税金 | 安め | 高め |
9.リフォームの自由度 | 自由 | 制限あり |
10.災害リスク | 中 | 中 |
木造と鉄骨系でアパート経営には欠かせないさまざまな項目を比較しました。どちらも一長一短ですので、ご自分のアパート経営計画にぜひ役立ててください!
1.アパート経営の【耐用年数】を比較
木造の法定耐用年数は22年です。対して鉄骨系の法定耐用年数は軽量鉄骨だと27年、重量鉄骨は34年。
耐用年数で考えれば、「鉄骨系のほうが木造より5年長いから長持ちする」というイメージがありますね。ただ耐用年数は、あくまで税法上の取り決め。
耐用年数を過ぎたら建物が使えなくなるわけではありません。しっかりメンテナンスや修繕をおこなうことで、いつまでも現役アパートとして生き残っているアパートは多くあります。
築年数の古いアパート経営者ならこちらの記事も参考にしてください>>【アパート経営にかかる修繕費の目安】屋根等15の費用と築30年アパートの試算
2.アパート経営の【資産価値】を比較
耐久性の高い建物ほど資産価値の下落は緩やか。鉄骨系に比べ、法定耐用年数が少ない木造は資産価値の下落が早まりやすいもの。
しかし木造でも日ごろのメンテナンスや客付けを意識した経営で、法定耐用年数に関わらず資産価値を高められる可能性は十分にあります。
3.アパート経営の【空室率】を比較
画像引用:【株式会社TAS】賃貸住宅市場レポート空室率TVI
構造別による空室率ではRC造などに比べて木造の空室率が高く、収益性に劣ります。同時に鉄骨系でも、軽量鉄骨と重量鉄骨では軽量鉄骨のほうは空室率が高い傾向に。
結果、構造別の空室率では、木造<軽量鉄骨<重量鉄骨の構造順に空室率が低くなる傾向にあります。
4.アパート経営の【家賃水準】を比較
木造の平均家賃 | 非木造の平均家賃 | |
1㎡あたり | 1485円 | 1619円 |
1畳あたり | 3603円 | 3971円 |
設備や外壁の修繕次第では、非木造の家賃水準より高い金額でアパート経営ができる可能性は十分にあります。
参考:【総務省統計局】平成25年住宅・土地統計調査 調査の結果
5.アパート経営の【建築費】を比較
木造 | 鉄骨造 | |
1戸あたり工事費予定額 | 611万円 | 1,149万円 |
1㎡あたり工事費予定額 | 17万円 | 24万円 |
木造に比べて、鉄骨造は建築コストが高いのがわかります。1戸あたりの工事費予定額では、およそ2倍の差額が。建築費はその後のキャッシュフローに大きく関わる費用なので比較する大事なポイントですね。
6.アパート経営の【ローン】を比較
金融機関は法定耐用年数を超えない範囲で、借入期間を設定するのが一般的。
住宅性能評価の劣化対策等級2級を取得した新築木造アパートなど、耐用年数以上の借入が可能になる例もあります。あらかじめ劣化対策等級2級を取得できる設計か、建築業者に相談するとよいでしょう。
融資について、さらにくわしく知りたいならこちらの記事をご覧ください>>アパート経営ローン(融資)で差が出る活用法5つ!返済できない等を避ける3つの注意点
7.アパート経営の【修繕費】を比較
構造によって大きく異なる修繕費ですが、大規模修繕費の内訳は屋根の防水や外壁塗装がメイン。日ごろの修繕費としては、設備メンテナンスなどがあります。
木造の多くはそもそも大規模化できない構造。エレベーターなどの機械設備も少ないので、鉄骨系と比べて比較的に修繕費は安く済みます。ですが、シロアリ駆除費用などのメンテナンス費用は積立などで確保しておく必要があります。
軽量鉄骨を含む鉄骨系の場合、木造のように簡単に柱を交換というわけにいきません。柱となる鉄骨の腐敗が進むと、修繕がやや困難になるケースがあります。
修繕費を15の項目にわけてお伝えしている記事があります。ぜひ一緒にご覧ください>>【アパート経営にかかる修繕費の目安】屋根等15の費用と築30年アパートの試算
8.アパート経営の【税金】を比較
固定資産税の評価額は、建物の構造・構成材料によって変わります。木造<鉄骨系<鉄筋の順に高い評価になり、それと同順に固定資産税も上がるのが一般的です。
さらに、小規模住宅(住宅用地1戸200㎡以内)になると固定資産税が1/6になる軽減措置が適用になります。
木造は法定耐用年数が短いため毎年の減価償却費が大きく、節税効果を期待できます。ただ必要経費として計上できる期間が、鉄骨系よりも短くなります。
節税についてなら、こちらの記事も参考にしてください>>アパート経営の経費で認められる20種類!意外と知らない節税のポイント2つ
9.アパート経営の【リフォームの自由度】を比較
リフォームの自由度が高く、将来のリノベーションも視野に入れているなら木造住宅がオススメ。
逆に鉄骨系、とくに軽量鉄骨はブレース工法により(筋交い)間取り変更が不可などリフォームに制限があります。
無料Wi-Fi(無料インターネット)について導入した大家のインタビュー付きの記事があります。くわしくはこちら>>アパート経営に無料Wi-Fiインターネット【大家の感想付】宅建士が5つのポイントを解説
10.アパート経営の【災害リスク】を比較
鉄骨系に比べて、木造は燃えやすく揺れやすいというのが一般認識。ただ「一般社団法人 木を活かす建築推進協議会」が公表している論文によれば、必ずしも木造が燃えやすく倒壊の危険性が高いわけではないとしています。
上図は、木造に熱を加えたときの強度低下は鉄骨より遅いというデータ。建物規模や延焼具合によって変わるものの、火災になったとしても木造は簡単に倒壊せず避難確保の時間が作れるのです。
燃えやすさという点で鉄骨系は木造住宅より強い構造。しなりの力が働いて地震の揺れを吸収しますので、とくに横揺れの地震には強い構造です。
ただ長時間の火災になれば倒壊の恐れがあります。
歴史が長い木造技術の進化により、耐震にすぐれた木造住宅も増加。災害リスクという点において、木造と鉄骨系でどちらがローリスクという明確な差はないと言えるでしょう。
ここ数年は水害が全国各地で起きています。災害リスクについてくわしくはこちらの記事をご覧ください>>アパート経営の災害リスク(地震・火事)に対処する特約6選と土地調査で使える無料ツール紹介
【実例】木造のアパート経営は失敗しない!成功したオーナーの事例
不動産投資としては躊躇するような木造物件を積極的に購入し、リフォームなどで高利回りのアパート経営を実現させている上総百万石さん。
『地元のボロ木造物件を再生して「家賃1500万円」を稼いでます』の著者でもあり、現在12棟あまりを所有する現役大家です。
地元のボロ木造物件を再生して「家賃1500万円」を稼いでいます! ~首都圏でも手取り利回り25%
自称「筋金入りのオタク」という上総さんは、気になるところを自由に変えていける木造の中古物件に魅力を感じ、管理状態が悪い物件を安く購入しています。
周りの投資家が狙わない物件にあえて焦点をあて、リフォームの際も作業をこまめに見学。作業の手間や費用をしっかり把握し、大家としての経験を着実に積んでいます。
1物件ごとの収益はマンション経営よりも劣るものの、経験を積みながら木造建物を買い増して確実に収益を増やしていったのです。
上総さんは、「不動産投資をはじめるなら小規模物件からはじめるのが鉄則。
自己資金で手が出せる物件で、物件の管理や客付けを意識したリフォームの訴求力を高めるのが優先」と掲げています。
家族を含めたチームで投資に取り組み、オタクの強みで徹底的に高利回りのアパートに再生させていく姿勢はまさに訴求力の賜物ですね!
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アパート経営を成功させる大家の秘訣!儲かる成功者7つの共通点と失敗例から学ぶ基礎知識
木造のアパート経営は初心者やサラリーマンに向いてる!
あらためて、これまでの比較項目を一覧にしてみましょう。
比較項目 | 木造 | 鉄骨系 |
耐用年数 | 短い | 長い |
資産価値 | 低い | 高い |
空室率 | 高い | やや低い |
家賃水準 | 低い | やや高い |
建築費 | 安い | 高い |
ローン | やや不利 | 有利 |
修繕費 | 安い | 高い |
税金 | 安め | 高め |
リフォームの自由度 | 自由 | 制限あり |
災害リスク | 中 | 中 |
しかし木造は「耐用年数が少ない=早く価値がなくなる」というわけではありません。現に築50年以上の物件も多くあり、築古でもおしゃれな内装で空室率の低いアパート経営を実現させている物件も存在します。
また、こまめなメンテナンスは結果的に修繕費を安く抑えるメリットも。
「アパート経営の【家賃水準】を比較」で、木造の家賃は鉄骨系よりも1割低いと伝えました。しかし入居者ニーズを把握した内装の差別化や、条件の緩和などによっては鉄骨系と十分に勝負できます。
初期費用が抑えられ、自分なりの工夫がしやすい木造アパートはサラリーマンやアパート経営初心者に向いているといえるのです。
まとめ
今回は構造という視点から、木造のメリット・デメリットを鉄骨系と比較し分析してみました。木造のデメリットを違う構造と比べることにより、大家次第でメリットにも変えられる可能性が見えたのではないでしょうか。
自分の収支計画に合ったアパート経営は、木造にあるかもしれませんね。