アパート経営者を悩ます騒音トラブル【この手があった】4つの解決方法

アパート経営をしていると大なり小なり必ずぶつかるのが、騒音にまつわるトラブルです。騒音はアパート経営においてもっとも多いクレームのひとつ。
単なる騒音だけでなく生活音が問題になることも多く、また個人によって音の感じかたが異なるのも特徴です。
こじれてしまうと解決が困難になり、最悪の場合は退去者が出て空室リスクにつながることもあるため迅速な対応が必要。
騒音の苦情がきたら、まずは全戸に手紙などでの注意喚起をおこなったうえで、その後の状況に合わせた対策を講じましょう。
今回は「あぱたい」がアパート経営者として知っておきたい騒音トラブルの対処法を具体的に解説します。また事前にできる防音対策もご紹介。
騒音の苦情は、迅速に誠意をもって対応することが基本!
記事の目次はこちらをクリック
アパート経営者を悩ます騒音トラブル!解決がむずかしいのはなぜ?
アパート経営にはリスクがつきもの。騒音トラブルもそのひとつです。特に生活音に関する騒音は解決に時間がかかり、こじれることも多いトラブルなのです。
その理由として「アパートは構構造の関係で音が漏れやすいこと」、「音の感じかたは人それぞれで違う」ということを大家のあなたが理解することからはじめましょう。
アパートの構造上音が漏れやすい
木造や軽量鉄骨造のアパートは、鉄筋コンクリート造に比べて遮音性が低く音漏れの可能性が高いもの。
隣同士の音だけではなく、上階の床の振動音や天井と屋根の間の空洞を伝った音漏れなど、音が伝わるルートが複数あることも特徴です。
間取りによっては生活音による騒音トラブルの起きやすさが異なるよ!
テレビを観たり電話をしたりする居室同士がくっついている間取り、洗濯機置き場と寝室が隣あっている間取りは要注意カニ
音の大きさの感じかたが人によって異なる
部屋での楽器演奏や大人数での宴会であれば、明らかに「騒音」とのため対処しやすいです。
しかし一般的には、騒音といえないような普通の生活音が苦情になることも。同じ大きさの音でも不快に感じるかどうかは人によって違います。
音の大きさを数値であらわすと?
音の大きさはdb(デシベル)という単位であらわします。一般的には60db以上が「うるさい」と感じるレベルの騒音です。
うるささ | 身体、生活への影響 | 騒音値 (db) |
騒音発生源と距離 |
きわめて うるさい |
聴覚機能に異常をきたす | 120db |
|
110db |
|
||
100db |
|
||
うるさくて我慢できない | 90db |
|
|
80db |
|
||
うるさい | かなりうるさい かなり大きな声を 出さないと会話ができない |
70db |
|
非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話できる |
60db |
|
|
普通 | 大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
50db |
|
聞こえる会話には支障なし | 40db |
|
|
静か | 非常に小さく聞こえる | 30db |
|
ほとんど聞こえない | 20db |
|
騒音トラブル4つの解決方法
まずは注意喚起の手紙を配布するといった方法を試し、その後は状況にあわせて対処を検討します。
大家または管理会社、いずれの場合も対応時は誠意をもっておこないましょう。
1.迅速な対応を心がける
騒音についての苦情や相談がきたら、とにかく初動は迅速に。もし最初の対応が遅れると、入居者同士が直接対立してしまうことがあります。
そうなってしまうと、最悪の場合は両方の入居者が退去してしまうケースも。これは大家にとって大きな痛手です。
さらに昨今はトラブルが発展して事件になった事例も少なくありません。そんなことが起きないためにも、まずは初動を迅速にすることが重要なのです。
とにかくすぐに対応を! 入居者の心象もよくなるカニ!
放置だけは絶対にしないこと!
2.騒音の原因が判明している場合
全戸に向けて注意の手紙を配布することが効果的。手紙には騒音の種類によって具体的に記載しましょう。
楽器演奏 |
|
テレビの音量や子供の騒ぐ音 |
|
夜間の洗濯機、掃除機の稼働音 |
|
手紙では解消されない場合
アパートに直接ヒアリングに行きましょう。仕返しを心配して苦情を出せないという入居者もいます。「入居者全員に聞いています」という形をとります。
ヒアリングをして騒音の発生源がわかれば直接本人に注意をしますが、入居者自身が気づいて自ら謝罪を申し出てくれることも少なくありません。
3.騒音の出どころがはっきりしない、ほかからの苦情がない
全戸に注意文を配布しても騒音が解消されず、入居者にヒアリングをしてもほかに騒音を感じている人がいない。そんなときは苦情を出した入居者が過度に神経質な場合もあります。
とはいえ「神経質なのでは」「常識の範囲ですから」と突き放すと入居者から恨みを買ってしまいます。調査結果を報告するときは、相手が神経質であることを十分に考慮した上で納得してもらえるようていねいな説明を試みましょう。
4.騒音を出すがわに事情がある場合も……
騒音を出すがわの入居者が、故意ではなく事情があることも。
具体的には、高齢の入居者がボケを発症して正常な音に対する判断力がなくなってしまっていたり、入居者が過労などをきっかけに精神的な病気になり騒音を出したりするケースです。
騒音を出している入居者と直接コミュニケーションをとることがむずかしい場合は、念のため契約書に記載された緊急連絡先や連帯保証人に連絡をとりましょう。
もし身内がいない場合には、自治体の福祉課や民生委員に連絡し、入居者の生活の様子をみてもらえるよう依頼することも可能です。一般生活が困難な入居者は大家ひとりで抱え込まないよう注意しましょう。
高齢者を入居させるときは、身の回りについて面倒をみてくれる人の連絡先を確保しタイね
大きなトラブルに発展!損害賠償や引越費用を請求されることもある?
騒音の苦情を受け取ったあと、大家の対応が遅れて入居者が納得のいく対処ができなかった場合、その結果どちらかの入居者が退去してしまうことがあります。
その退去にともなってかかった引越の費用を、損害賠償として大家に請求してくることも。
そんなことは起こらないのが一番ですが、念のために対応の記録をつけておくことをおすすめします。
事実関係をはっきりさせるための記録をつけておく
騒音についての苦情は、基本的には入居者同士の問題のため、多くの場合大家が損害賠償を被る必要はありません。しかしまれに大家や管理会社が管理責任を問われるケースも。
明らかに騒音元の入居者に落ち度がある場合には、大家として退去を求めていくことも必要です。
対策としては苦情の初期段階からこまかな記録をつけておくこと。メールは削除せずに残しておく、電話や会話などは日付と内容を記録につける。場合によってはICレコーダーなどを活用してもよいでしょう。
携帯電話やスマートフォンでも手軽に録音できるよ!
通話録音アプリを使ってもいいカニ
クレーマー入居者なら、立ち退き交渉をしてみても!
苦情をいったがわの入居者が、過剰なクレームを出す「クレーマー入居者」なこともありますね。そういった場合には、これを機に退去を促すのもひとつの手段。
アパートの入居者は借地借家法で手厚く守られているため、クレーマー入居者でも大家都合で退去させることはむずかしいのです。
もし、クレーマー入居者が騒音をきっかけに引っ越ししたいという意思があれば、引っ越し代を大家が負担してでも退去してもらうことも検討しましょう。
クレーマー入居者の対応は、時間をとられるし精神的に疲弊することもあります。長い目でみると退去してもらったほうがよい場合も。
立ち退きについて詳しくはこちら>>アパート経営の立ち退き料の相場は6か月?交渉テクと注意したい正当事由3パターン
入居者トラブルについてもっと知りたいときはこちら>>アパート経営問題点ランキング【一括借上~空室対策まで8つ】宅建士によるトラブル解決のヒント
アパート経営前にできる防音対策
建築・リフォームでおこなう防音設備
床材・壁材 |
|
窓 |
|
玄関ドア |
|
もともとアパートは、構造上音漏れがしやすい建物。アパート内で使用される床材や壁材、窓、玄関ドアに防音効果のある建材を取り入れることで、通常のアパートに比べて防音効果を高めることができます。
また防音対策は入居付けの際にもアピールポイントとなることも。
デメリットも
防音性の高い建材や設備はやはりコストがかかるため、その分は賃料に反映したいところ。とはいえ高すぎると入居者が決まらなくなるため本末転倒です。周辺の家賃相場とのバランスを見て値付けをしましょう。
これなら入居してもいい! と思ってもらえる家賃設定を目指しタイ!
アパート経営開始後でもできる防音対策
契約書に禁止事項を明記する
入居者に騒音についての意識を持たせるには、入居時に交わす契約書上で禁止事項をしっかりと盛りこんでおくことが効果的です。
- テレビやステレオ、カラオケなどの大音量禁止
- 楽器演奏やペット飼育の禁止
- 楽器可の場合は演奏条件(演奏可能な楽器の種類、演奏時間帯や音量についての制限)を明記
- ペット可の場合はムダ吠えしないなど、しつけを義務とする
手軽に設置できる防音グッズを活用
画像のような防音パネルだと、壁に傷をつけずに設置でき、インテリアのアクセントにもなります。
- 防振マット
防水パンと洗濯機の間に設置するだけで洗濯機の音や振動を防ぐことが可能。
- 防音カーテン
見た目は普通のカーテンと変わらず、好きなカラーを選択できます。
- 防音カーペット、フロアタイル
下階に響く足音を軽減。床に傷をつけることも防げて一石二鳥。
防音パネルは壁につけるとおしゃれなインテリアができるカニ!
まさに一石二鳥だね!
まとめ
アパート経営において騒音についてのトラブルはつきものです。トラブルがこじれてしまうと退去者が出ることもあるので、大家にとって対策は必須。
契約書の内容で入居者に明示することはもちろん、苦情が入ったときの迅速な対応や防音に関するリフォームなど大家がわの努力もしっかりアピールして、住みやすいアパートづくりを目指しましょう!