サラリーマンのアパート経営の始め方【5つのリスクと失敗例で学ぶ】節税と収支シミュレーション

日ごろから会社に行って仕事に勤しむサラリーマンも、最近では本業以外で収入を得ようとするかたが多くなりました。とりわけ注目されているのがアパート経営をはじめとした不動産投資です。
しかし実際にはじめようと考えても「なにから手をつけるべきかわからない……」「セミナーに通えばよい? 」「初期費用はどうすればよい? 」など、気になる点は多いでしょう。
今回は「あぱたい」が、サラリーマンが賃貸アパートを経営するうえで必要な情報をお届けします。
あなたはアパート経営のオーナーに向いているのか、向いていないのか。サラリーマンがアパート経営をはじめるまでの費用や流れ、そしてどのような点に気をつけるべきかまですべて解説します。
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アパート経営がサラリーマンに向く理由とふたつのメリット
「サラリーマン大家」という言葉も、昨今では珍しくなくなりました。それだけサラリーマンでアパートオーナーを兼業する人が増えたという証拠。
サラリーマン大家が増えた理由は、サラリーマンだからこそアパート経営に向くからです。サラリーマンがアパート経営をおこなうメリットは、大きくわけてふたつあります。
【メリット1】アパート経営はリスク管理しやすい
株やFXなどは毎日の動向をチェックしたり、専門知識を学んだりする必要があります。リターンとリスクの両方が大きいため、相当の知識と経験がなくては儲かりません。
対するアパート経営は、比較的にリスク管理しやすいという特長があります。
株や為替のような価格変動はありません。空室や入居者トラブルなど事前に予測できるリスクが多いため、限りなく低リスクにできるのがアパート経営なのです。
【メリット2】安定収入のサラリーマンは融資を受けやすい
サラリーマンのアパート経営は、融資を受けやすいのが最大のメリット。
アパート経営は高額な費用がかかりますので、ローンを利用する必要があります。
もちろんローンの利用には審査が入りますが、サラリーマンは収入が安定しているため比較的に審査がとおりやすいです。
アパート経営に向くサラリーマンに共通する5つのポイント
アパート経営にメリットがあっても「そもそも自分にできるのかな? 」と思いませんか?
実はアパート経営に向く人はある程度ポイントが決まっています。自分がアパート経営に向いているのか一度確かめてみましょう。
【1】アパート経営で本業をおろそかにしない自信がある
サラリーマンのアパート経営で非常に多いのが「すべて自分でやろうとして失敗する」というパターン。
アパート経営をはじめれば、入居者の問い合わせや急な設備の故障などへの対応が必要。ただサラリーマンがそれらに迅速に対応するのは非現実的です。
対応できなければ入居者が退去するという悪循環が生まれるでしょう。
管理委託の費用を負担してでも、管理会社に一任する勇気がないとサラリーマン大家には向かない可能性があります。
【2】アパートローンを組める属性である
そもそもローンを利用してアパート経営をはじめるなら、審査が承認される前提でなければいけません。
カードローンの延滞履歴や自己破産の履歴が残っていたら、アパートローンどころか住宅ローンすら利用できないでしょう。また勤続年数が浅かったり、健康状態に難があったりするのも審査を厳しくします。
現金購入でないなら、アパートローンが利用できるかどうかはサラリーマン大家としてのひとつの資質と考えたほうがよいでしょう。
【3】一定の自己資金を用意できる
昨今のアパートローン事情は厳しくなっており、一定の自己資金が用意できなければローンは利用できないと考えたほうがよいでしょう。
実績を積んだアパートオーナーなら別ですが、基本は「物件価格の2割」を用意できるかどうかが目安です。
必ずしも2割の自己資金を物件購入に充てる必要はありません。ただ「私はこのくらいのお金を持っています」という銀行を安心させるためのエビデンスが必要なのです。
どちらにせよ、入居募集や修繕などで一定以上の費用がかかります。自己資金をまったく用意できなければサラリーマン大家に向いていないと言っても過言ではありません。
【4】目先の利益ではなく長期的な収入が目的である
アパート経営は物件を購入すれば自動的に儲かるシステムではありません。
どんなに良質で利回りの高い物件を見つけても、物件購入の費用を回収するには何年もかかります。物件を売却したところで損失が発生する可能性すらあるのです。そのため目先の利益ばかり求める人は、アパート経営に向いているとは言えません。
中長期的な計画を立てて、堅実かつ戦略的な経営を可能にする自信があればアパート経営で成功する可能性は高いと言えます。
【5】リスク管理や回避に自信がある
アパート経営に向いている人に共通するのは「将来のリスクや支出を把握している」という点。
アパート経営のリスクは「入居者トラブル」「修繕・災害」「空室問題」など、意外と種類が多くあります。リスクの把握や許容、そして事前対策を練られるかどうかもアパート経営で必要な資質です。
サラリーマンがアパート経営をはじめるのに用意すべき費用
ここまでお読みいただいて「アパート経営に向いていそう! 」と思うなら、今度は「初期費用」について考えてみましょう。
ただ物件価格から諸費用まで全額を用意する必要はなく、アパートローンを利用すれば少ない自己資金でアパート経営をはじめられます。モデルケースをもとに「上記の費用がどういった内訳になるか」「自己資金としてどのくらいの金額を用意すべきか」をみてみましょう。
【モデルケース】
場所:埼玉県さいたま市(駅徒歩20分前後)
土地面積:40坪(132㎡)
建物面積:24坪(約79㎡)
延べ床面積:80坪(264㎡)
構造:木造
「新築アパート」の経営で必要な費用
新築のアパート経営をはじめるなら、まずは土地を購入しなければいけません。建物もゼロから建築してのスタートです。
- 土地購入費
- 土地購入時の仲介手数料
- 登記費用(土地)
- 建築費用
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 抵当権設定費用
- アパートローンの手数料
- 火災保険料
上記は新築でアパート経営をはじめる際の主な費用内訳です。
それぞれの費用は何かとむつかしい決まりで計算されますので、続いて詳しく解説します。
1.土地購入費
モデルケースである埼玉県さいたま市の駅から20分という場所をランダムにピックアップしたところ、公示地価で平米単価「23.2万円」でした。
この土地の価格は以下の式で計算できます。
土地面積40坪(132㎡) × 23.2万円 = 約3,062万円
アパートローンの利用を前提として「物件価格の2割」を用意するなら、土地購入で用意すべきお金は「約612万円」です。
2.土地購入時の仲介手数料
続いて土地購入時の仲介手数料ですが、むつかしくありません。
仲介手数料は「(価格 × 3% + 6万円) × 消費税(8%)」と計算しますので、「約105万円」です。
3.建築費用
アパートの建築費用も建築会社によりピンキリですが、一般的には坪単価50~80万円が相場です。
また土地に建てられる建物の面積は、一定のルールがあります。
-
建ぺい率:土地面積に対する建物を建てられる面積の割合
-
容積率:土地面積に対して建築可能な延べ床面積の割合
モデルケースの土地を調べたところ「建ぺい率60%」「容積率200%」でした。
つまり坪単価を50万円だとすると「40坪(132㎡) × 2 = 80坪(234㎡)」のアパート建築が可能と計算できます。
坪単価50万円で80坪のアパートを建てると「80坪×50万円=4,000万円」。ここでもアパートローンの利用を前提として、自己資金2割を用意するなら「800万円」が必要です。
4.登記費用(土地・建物)
登記費用は「登録免許税」と「司法書士費用」のふたつを合わせた合計額で考えなければいけません。
また新築の場合、土地は「所有権移転登記」で建物は「所有権保存登記」でわかれて税率も異なります。
-
所有権移転登記(土地):土地価格 × 1.5%
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所有権保存登記(建物):建物価格 × 0.4%
さらに土地と建物の価格は固定資産税評価額をもとに計算されます。
ただここで解説するとややこしくなりますので、今回のケースでは土地の登記費用は「約46万円」、建物の登記費用は「16万円」と考えましょう。
※土地、建物ともに7割の評価額にて算出しています。
なお司法書士に依頼すると司法書士報酬もかかりますが、ここではいったん「6万円」と仮定します。
5.不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物を取得した際に支払う税金です。
ただ新築アパートの場合、軽減税率制度があるおかげで今回のモデルケースで不動産取得税は発生しません。
6.固定資産税
固定資産税は不動産を所有している場合に課せられる税金。毎年課税され、不動産の資産価値により税額が変わります。
ただここでは、軽減税率などを加味しつつ仮に「45万円」としておきましょう。
7.抵当権設定費用
事前に意識している人は多くありませんが、アパートを担保にするために抵当権の設定登記が必要です。
費用は「アパートローン借入額×0.4%」で誰でも同じ。ただし司法書士に依頼する費用額は変わります。
司法書士費用は5,000万円までの債権額で3~4万円としているケースが多いです。そのためここでは、仮に抵当権設定登記で「約23万円」、司法書士手数料で「4万円」の合計「27万円」とします。
8.アパートローンの手数料
アパートローンを利用するのに事務手数料や保証料などが必要です。
金融機関により数万円ですむケースや10万円を優に超えるケースもあり、金利に上乗せタイプか一括払いのタイプかでもわかれます。
解説をわかりやすくするため、ここでは仮に事務手数料などだけで「10万円」とします。
9.火災保険料
アパートローンを利用する際に加入を求められるケースがほとんど。万一の際に資産を守りますので、火災保険への加入は絶対と考えましょう。
火災保険料自体の金額は保険会社やオプションなどによっても異なりますが、ここではおおよそ10年間で「40万円」とします。
さて上記までの内訳は、最初のモデルケースの土地で約3,000万円、建物で約4,000万円の新築アパートを建築すると仮定した場合の費用です。
すべて合計した「約1,700万円」が、自己資金として用意しなければいけない費用と考えましょう。
ほかにも水道やガスなどの引き込みであったり、入居募集時の広告料であったりとこまかな費用があります。すべてを挙げればキリがありません。
どこまで費用を削減できるかが、新築のアパート経営を成功させるひとつのカギとなります。
「中古アパート」の経営で必要な費用
中古アパートは土地込みの価格ですので前述までの内訳とは異なりますが、それぞれの計算方法はほぼ同じです。
よってここではわかりやすく解説するため、物件価格5,000万円の中古アパート(固定資産税評価額も同じとする)を購入したと想定して、費用内訳と具体的な額を一覧でご紹介します。
物件価格に対する頭金(2割) | 1,000万円 |
仲介手数料 | 約168万円 |
不動産取得税 | 112万5,000円 |
登記費用 | 55万円 |
アパートローンの手数料 | 10万円 (新築のケースと同じと仮定) |
火災保険料 | 45万円 (10年一括払い、地震保険をつけた場合の目安) |
抵当権設定登記費用 | 20万円 |
合計 | 1,410万5,000円 |
新築アパートより300万円ほど安い1,400万円程度になりましたが、不動産取得税の軽減措置が受けられないのが新築との大きな違いです。
上記はあくまで、前述の新築アパートの価格と大きく変わらない物件をモデルケースにした試算です。
あとは物件探しでどれだけ安くて質のよい中古アパートを見つけられるかが、中古アパートにおける成功へのカギとなります。
サラリーマンでもできる!アパート経営をはじめるまでの流れ
ここまでの内容をご覧になって自分でもはじめられそうと思われたら、次のステップに進みましょう。
アパート経営をはじめるまでの流れは5つに大別できます。
それぞれのポイントのみ簡潔に解説しますので、大まかな手順とローンの利用方法をこの機会に確認してみてください。
【1】資金計画
前章のサラリーマンがアパート経営をはじめるのに用意すべき費用にて述べたように、初期費用がいくらになるか把握しましょう。
自己資金ゼロでもアパートローンを利用できるケースもあります。ただ返済額が大きくなるため、基本はある程度の自己資金を用意するのがベストです。
余裕を持ったアパート経営ができるかどうかで融資額や自己資金の割合を決めるとよいでしょう。
【2】物件探し
資金計画が立てられたら次は物件探しです。インターネットなども利用し、土地や物件の情報を収集しましょう。物件を探すだけでなく実際に現地へ足を運び、土地や建物の状況、周辺環境などチェックするのを忘れてはいけません。
また中古アパートの場合は、どの程度の修繕が必要になるかなどに注意を払ってください。
【3】収支シミュレーション
候補物件が見つかったら、今度は資金計画と照らし合わせてあらためて収支シミュレーションをおこなってください。
大事なのは収入に対して「どんな費用が」「どのくらいかかり」「何年後にアパートローンがどうなってるか」という長期的な目線でのシミュレーション。
長期的な事業収支を一覧にすれば、将来トラブルが生じたときに軌道修正しやすくなります。
エクセルを使ったシミュレーションの方法など、こちらの記事も参考にしてください。
くわしくはこちらをクリック>>アパート経営シミュレーション!無料エクセルソフト5選を宅建有資格者が厳選
【4】物件購入
契約やローン審査の承認などを経て物件購入に至ります。
手続きは何かと用意すべき書類が多いため、不動産会社や銀行から用意するように言われた書類はメモして忘れないようにしましょう。たったひとつの書類がないだけで契約が数日、数週間と遅れる可能性もあります。
【5】運営開始
購入後はなによりも速やかに管理方法を決めましょう。資産計画の段階から検討しておいたほうがスムーズです。
管理方法は主に「自分で管理するか」「管理会社に委託するか」の2択ですが、日々忙しくしているサラリーマンなら委託管理が望ましいです。
サラリーマンの理想的な「アパートローン」の利用方法
ここまで当然のように「アパートローンの利用」について述べていますが、アパートローンの利用には検討すべきポイントがあります。
アパートローンは年収の約10倍の金額まで借入可能というのが一般的。サラリーマンは審査もとおりやすいと言われています。
ただ審査にとおりやすいからといって借入額を増やせば、当然ながら返済が苦しくなるでしょう。
つまり “借りられる金額” と “現実的に返済できる金額” は異なるのです。
アパートローンの金利
利用が推奨される金融機関は「メガバンク系」「地方銀行」「日本政策金融公庫」が一般的。
ただアパートローンの金利は、金融機関や投資案件によりまったく違うため相場らしい相場がありません。そのためここでは、おおまかなアパートローンの金利をご紹介します。
固定金利 | 変動金利 | |
メガバンク系 | 3.5%前後 | 2.5%前後 |
地方銀行 | 3.0%前後 | 2.0%前後 |
日本政策金融公庫 | 変動金利のみ1.16~2.35% |
メガバンク系の金利は高めで、審査も厳しいと言われます。逆に地方銀行は金利が低めで審査も比較的にとおりやすいというのが一般的。ただやはり、昨今のアパートローン事情を考えると油断できません。
金利が1%変わるだけで収支に大きく影響しますから、できるだけ低い金利の金融機関を開拓しましょう。
アパートローンを借りる期間
金利だけでなく、アパートローンを借りる期間も収支に大きく影響します。
たとえば以下の物件を例にしてシミュレーションしてみましょう。
物件種別:木造アパート(6戸)
-
物件価格:5,000万円
-
家賃:各戸6万円
-
ローン借入額:フルローン
-
金利:2.5%
-
維持費:20%
維持費というのは毎月かかるランニングコストを指し、一般的に言われる家賃収入の20%を目安にしています。
上記の物件をアパートローンで購入したとして、借入期間でどう変わるかシミュレーションしたのが以下の票です。
借入期間 | 30年 | 15年 |
家賃収入(月) | 36万円 | |
純利益(月) ※家賃収入-維持費 |
28万8,000円 | |
家賃収入(年) | 432万円 | |
純利益(年) ※家賃収入-維持費 |
345万6,000円 | |
毎月返済額 | 19万7,560円 | 33万3,394円 |
年間返済額 | 237万720円 | 400万728円 |
差し引き収入(月) | 9万440円 | ▲4万5,394円 |
差し引き収入(年) | 108万5,280円 | ▲54万4,728円 |
総返済額 | 7,116万2,626円 | 6,005万2,024円 |
借入期間を半分にすると、たとえ満室経営だったとしても収支は赤字。しかし総返済額は逆転し、借入期間が短いと1,000万円以上もの差が生まれます。
ここがアパートローンの難しいところ。
毎月の収支をよくしたければ長期のローンを選択する必要がありますが、長いローン返済に縛られるうえ、最終的に大きく損をします。
逆にローンを早く完済させて損したくないなら借入期間を短くする必要がありますが、毎月持ち出しが出る可能背が高くなるのです。
上記のような事態を防ぐには、アパート経営をはじめるまえに緻密な収支シミュレーションをするのが大事です。そうすれば、どのくらいの金利で借り入れ期間をどうすべきか自ずとみえてきます。
身の丈にあったアパートローンの利用ができるよう、しっかり計算して検討しましょう。
アパートローンに関して、融資に差が出るポイントをこちらの記事で説明しています。>>アパート経営ローン(融資)で差が出る活用法5つ!返済できない等を避ける3つの注意点
サラリーマン大家さんデビュー!アパート経営で大事なふたつのコツ
さていよいよ、大家さんデビューしてからのイメージを具体的に考えてみましょう。
サラリーマンのアパート経営でポイントになるのが「管理」と「節税」です。
簡単にお伝えすると「管理は時間を確保するための作業」「節税は少しでも多く儲けるための作業」と考えるとわかりやすいでしょう。
【1】サラリーマンなら「委託管理」がオススメ
アパート経営の管理方法は大きく3つにわかれます。
- 自主管理
- 委託管理
- サブリース
自主管理は自分でアパートを管理する方式です。
ただアパート経営における業務は多岐に渡るため、忙しいサラリーマンに向いた方法ではありません。
対する委託管理は家賃の5~8%ほどの手数料を必要としますが、ほとんどの業務を管理会社に任せられます。収支の状態さえ悪くなければ、管理会社に丸投げしてしまってもよいでしょう。
ただし、サブリースは注意が必要です。
サブリースとはアパートの土地や建物を丸ごと借り上げてもらうシステム。多くの場合「家賃保証」と謳ってすべての業務を一任でき、空室でも一定額の家賃収入が得られます。
ただ委託管理と比べて手数料などが高額になりがち。サブリース会社の都合で借り上げの解除や家賃の値下げなどを強行されてしまうケースがあとを絶ちません。
そもそも家賃が保証できるのは、賃貸需要があるという見込みがあるからこそ。自主管理や委託管理で運営できるなら、わざわざサブリースを利用する必要がないのは覚えておきましょう。
【2】サラリーマンのアパート経営は「節税」が大事!
サラリーマンがアパート経営をおこなうなら税金についても考慮しなければいけません。過去に想定以上の納税額に苦しみ破綻に追い込まれたアパートオーナーも少なくないのです。
では、税金についてどう対処すべきでしょうか。
一般的には以下の節税方法が有効です。
- 青色申告の特別控除
確定申告時に青色申告を選択すれば、課税対象となる所得額から65万円を控除できます。
もしアパート経営が赤字なら翌年から3年間繰り越しでマイナス分を控除できますが、そもそもアパートを赤字にする節税策はご法度ですので基本は黒字を目指しましょう。
- 経費計上を漏れなくおこなう
アパート経営でもっとも大事な節税方法が「経費計上」。費用として計上できる経費は非常に多くありますが、特に大きな節税効果を生むのが「減価償却費」です。ただ建物の構造により減価償却できる期間は定められています。
そのほかにも経費として認められる費用があれば、漏れなく計上しましょう。
節税を可能にするテクニックは上記のほかにもあります。
ただやりすぎは脱税行為でしかありませんので、税理士などに確認しながら正規の方法で税金を安くするよう心がけましょう。
節税がアパート経営の利益を増やすか減らすかを決めると言っても過言ではありません。
サラリーマンのアパート経営で注意すべき5つのリスク!
そしてもうひとつ忘れてはならないのが「アパート経営におけるリスク」。
ご紹介するのは、どれも軽視できるリスクではありません。この機会に「どのようなリスクがあるのか」だけでも把握しておくようにしましょう。
【リスク1】収益の悪化
アパート経営をはじめる理由が「儲けたい」というのはほとんどの人が同じでしょう。「無償でもいいから住まいを提供したい」なんて考える人はいません。
アパート経営において収益をどこまで追求できるかは永遠の課題です。だからこそ「家賃滞納」や「空室の増加」は何としても防がなければなりません。
たとえば司法書士の太田垣章子さんは、自身が相談を受けた滞納者に関する案件について以下のような体験談を語っています。
以前滞納を繰り返す賃借人に、督促に行っても会えず、仕方なくドアに「連絡ください」と手紙を挟んだ。
しかしその数日後、賃借人は電車に飛び込んだ。
自分が何らかのきっかけを作ってしまったのかもと自分の行為を悔やんだ。
だから今回のケースも強い督促ができず、会えなくてもドアに何も挟まずにいた。その結果、滞納額は300万円を超えてしまっていた。
引用::健美家『家賃滞納額300万円を家主が全額負担!「審査」と「督促」、甘さのツケはデカかった。』
上記の記事では、賃借人が家賃督促をきっかけに自殺したのではないかという、家主の自責の念が語られています。結果、督促が出来なくなり2年間で300万円もの家賃が滞納されてしまったのです。
賃借人による保証会社の手続きもされていなかったため、保証が受けられず最悪の自体になってしまいました。
アパート経営は、空室対策や保証会社の利用でリスクが完全に排除されたとは言い切れません。
常に収益の悪化というリスクは意識しておく必要があります。
【リスク2】入居者トラブル
賃貸住宅で生じやすい問題として入居者トラブルもあります。
個人の大家が運営するブログなどを読んでいると、騒音トラブルやゴミ出しルールを守らないといった入居者トラブルが多いのは事実。
事前対策として重要なのは、入居前の人柄や属性の審査です。入居後は管理会社としっかり連携して、トラブルが大きくなる前に迅速な対応を心がけたほうがよいでしょう。
【リスク3】納税額のアップ
家賃収入を得れば所得税もアップします。しかも今まで不要だった固定資産税もかかりますから、十分意識する必要のあるリスクです。
納税額がアップするリスクは、不動産投資の失敗談を掲載するブログ『僕と投資と樹海の日々』でも紹介されています。
ブログでは、保有資産や収入額によりアップする国民健康保険税などで苦しんだ経験が赤裸々に語られています。
漫画形式の印象的なブログ。妻と子供の楽しそうな日常も描かれているリアルな体験談が、決して他人事ではない重要なリスクを思い知らされます。
この納税額がアップするリスクがあるからこそ、前章でもお伝えした節税が大事なのです。
税金は自己破産しても消えませんから、税額の把握と納税はしっかりおこないましょう。
【リスク4】修繕・災害のリスク
アパートは建物ですから、いずれ老朽化していきます。また火災や事故、事件などで金銭的にも精神的にも大きな被害を受ける可能性があるのも忘れてはいけません。
建物の老朽化にともなう資産価値の減少を抑えるためには「修繕」が重要。当然、修繕は費用がかかります。毎月の収入から一定額を積み立てておく、節税などで少しでも利益を確保する努力が必要です。
なお中古アパートを購入されるなら、事前に修繕履歴などを確認しておくと、予想外の修繕に慌てる必要が無くなります。
また昨今は地震や豪雨による災害も増え、火災保険はもちろん地震保険への需要が高まりました。
アパート経営においても、必ず各種保険に加入したほうがよいでしょう。
災害に関するリスクはこちらの記事でもくわしく書いてあります。合わせて読むと知識が深まります。>>アパート経営の災害リスク(地震・火事)に対処する特約6選と土地調査で使える無料ツール紹介
【リスク5】アパート経営の破綻
前述までのリスクを認識せず、また事前の対策をしなかった場合に最悪どうなるか。
当然「破綻」という二文字が限りなく近づきます。
明らかに収益性がよく、管理会社に任せっきりでも勝手に儲かるような物件なんてありません。世のアパート経営者のほとんどが、自分なりに努力して収入の確保を実現しています。
アパート経営の最大のリスクとして、自分の生活すら破綻する可能性があるのは認識したほうがよいでしょう。
アパートローンの残債が多ければ売るにも売れませんし、そもそも老朽化により買い手が現れるかも確実ではありません。
サラリーマンがアパート経営するなら、何よりも確実性のある運営を目指すべきなのです。
【チェックリスト】サラリーマンの自分はアパート経営に向いている?
では最後にここまでをお読みいただいた結果として、あらためてご自身がアパート経営に向いているかどうかをチェックしてみましょう。
|
チェック項目 |
理由 |
本業をおろそかにしない自信があるか | アパート経営がメインになると本業に影響して本末転倒になりかねません | |
ローンが組める状況にあるか | 身の丈に合わない融資はアパート経営の収支を悪化させ、破綻する可能性を高めます | |
一定の自己資金があるか | 自己資金がなければアパートローンは利用できないと考えましょう | |
目先の利益より長期目線で考えられるか | アパート経営を株やFXのように考えてはいけません | |
リスク管理や回避の自信があるか | 緻密な事業計画が立てられるかどうかがアパート経営のわかれ道です |
ほかにもアパート経営で大事だとされるポイントは多くあります。
上記はサラリーマンがアパート経営をはじめるうえで最低限必要な資質。ただチェックが入らないからといってあきらめる必要はありません。いざアパート経営をはじめたとき、努力と知識の習得で足りない部分を補えればよいのです。
安易な儲け話や夢のような巧い話はありません。自分の知識とシミュレーション、リスクの認識が、アパート経営を成功に導くのです。
まとめ
今回はサラリーマンという目線でアパート経営についてみてきました。
基本的にはサラリーマンであろうが個人事業主であろうが、はたまた法人であろうがアパート経営で大事になるポイントはほとんど同じ。
アパート経営をはじめた人のライフスタイルにより「なにができて」「なにができないか」が違うだけなのです。
常に「具体的にどうすべきか」を考え、リスクが高すぎると思うならアパート経営をはじめるべきではありません。逆にリスクを許容できる、もしくはリスクの事前対策が可能と思うなら儲かるアパート経営も可能になるでしょう。
アパート経営に関する日々の勉強や成功者の言葉に耳をかたむける心構えは、成功への第一歩なのです。
アパート経営の設備も考えていますか? 成功している大家さんの多くが設置している無料インターネットサービスも知っておきましょう。
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