アパート経営の空室リスク【マンションより1.2~1.3倍低い】最小限に抑える4つ方法

アパートとマンション、印象がいいのはどちらでしょう? 「マンションはキレイで需要が高い、アパートは古くて空室だらけ……」いまだにそんなイメージを持つ人は少なくありません。
だからといって、アパートがマンションにくらべて空室リスクが高いとは言い切れないのです。
今回の「あぱたい」では、LIFULL HOME’Sやアットホーム、賃貸住宅市場レポートの空室率・入居者ニーズランキング・空き家率などさまざまなデータをもとに、アパートとマンションの空室リスクを分析。これからのアパート経営で失敗しない4つのリスク回避方法をご紹介します。
所有アパートを客観的に判断したい大家さんにとって必見です!
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アパート経営とマンション経営の空室率を比較
画像引用:【株式会社TAS】賃貸住宅市場レポート空室率TVI
まずは株式会社TASが分析したデータで、アパートとマンションの空室率を比較します。
図は一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)における、アパート系(木造・軽量鉄骨)とマンション系(重量鉄骨・RC造・SRC造)の空室率データです。
データ上で占めるアパート率は、東京が2割、あとの3県が5割。マンションのほうがアパートに比べて多いものの、空室率はマンションのほうが低いですね。
空室リスクはどちらが高い?アパート経営とマンション経営
データからみた空室リスクは、マンションよりアパートのほうが高いのは明白。
ではさらに、データではわからないマンション経営・アパート経営の空室リスクを考察してみます。
考察にあたって、空室リスクについて以下の要素にわけました。
- 【物件数】
- 【賃貸ニーズ】
- 【立地面】
- 【収益性】
- 【対策のしやすさ】
アパート経営の【物件数】による空室リスク
不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」と「アットホーム」の情報から、マンションとアパートで入居募集中の物件がどれくらいあるのか比較しました。
画像引用:LIFULL HOME’S
画像引用:アットホーム
マンションはアパートに比べて、募集物件数が多い結果。マンションの物件数は、アパートの1.2~1.3倍ほどです。物件数から考えると、空室リスクはマンションのほうが高いと言えるでしょう。
でも逆に物件数が多いからこそ選べる選択肢があるという考えもあるよね
タシカニ! では、人気なのはアパートとマンションどちらカニ?
アパート経営の【賃貸ニーズ】による空室リスク
マンションとアパートどちらが人気かは、一概に判断できません。間取りや広さを妥協して家賃を重視する人もいれば、漠然と「マンションじゃないとダメ! 」という人もいます。
防犯面やセキュリティ対策がしっかりしている物件を望むなら、マンションのほうが選択肢はあるでしょう。
しかし選ぶ基準は人それぞれであり、個々の事情や嗜好でアパートを選ぶ人も増えています。
ここで調査データをもとに、賃貸ニーズを掘り下げていきましょう。下図は株式会社リクルート住まいカンパニーが調査した「家賃が上がっても欲しい設備と許容額」です。
「追い焚き機能付きの風呂」がトップ。さらにエアコンや独立洗面台などがつづきますが、意外にもセキュリティ関係は下位にあります。
では今度は、家賃が上がったときの許容額順に並べ変えて10位までみてみましょう。
設備 | 家賃上昇の許容額 |
エアコン | 1,800円 |
スマートキー | 1,600円 |
独立洗面台 | 1,400円 |
浴室乾燥機 | 1,400円 |
防犯カメラ | 1,400円 |
すると今度は、マンションに多いスマートキーや防犯カメラなどのセキュリティ関連の設備が上位にきました。
上記の調査結果からわかるのは、「便利・快適な設備 > セキュリティ関連設備」という心理。
決して、マンションでないと叶わない設備が人気ということはないのです。
部屋探しをする多くの人が、「家賃」を決め手(あるいは妥協)にしています。逆に「築年数」は諦めた人がもっとも多い結果です。
やはり、マンションでなければ叶わない設備や条件ではありません。
入居者の賃貸ニーズは、アパートもマンションもさほど変わらないのと考えてもよさそうです。
アパート経営の【立地面】による空室リスク
一般的にマンションは駅から近いエリアに、アパートは駅から離れたエリアに多い傾向があります。
通勤など利便性や立地の良さを重視したい人にとって、駅から近いマンションは物件探しの有力候補になることでしょう。
しかし立地面でみたアパートの空室リスクが、果たしてマンションより高いのかという点に疑問が残ります。
駅から多少離れていても、近くにスーパーやコンビニ、病院などがあれば単身者にも需要が見込めるからです。
ファミリー層からしても、保育園や学校が近ければたとえアパートでも物件としての魅力は十分と言えるでしょう。
健康志向が強くなった現代では、自転車や徒歩で通勤する人が昔より増えているよね
逆に駅から近くても、生活環境に必要な施設がなかったら空室リスクが高まる可能性はあるカニ……
空室リスクで変わるアパート経営の【収益性】
区分所有であるマンションでは、所有している部屋が空室になれば収益はゼロ。
しかしアパート経営は1棟をまるまる所有します。全室が空室にならない限り、収益がゼロになることはありません。
アパートのほうが空室による収益性への影響は少ないのです。
空室リスクの回避に必要なアパート経営の【対策のしやすさ】
実は、一番リフォームしやすい構造は木造です。
アパートに多い木造は、専有部分となる部屋はもちろん、共有部分にいたるまでフルリノベーションが可能です。
区分所有であるマンションも間取り変更などのリフォームはできるものの、窓やベランダ、構造強度に関わる部分があるためリフォームに制限がかかります。
マンションの管理組合に申請をしなければならず、そう簡単にリフォームできないと考えたほうがよいでしょう。
空室対策として将来的なリフォームやリノベーションを考えると、若干ながらアパートのほうが有利と言えるのではないでしょうか。
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アパート経営で木造と鉄骨儲かるのは?【10項目で比較】木造投資の天才大家の実例付き
意外な事実!実はアパート経営のほうが空室率は低い!?
住宅総数と賃貸住宅の空き家率は、なんとどちらも木造のほうが空き家率は低い結果です。
もちろん、アパートにはRC系など非木造アパートもありますので、すべてのアパートで空室率が低いとは言い切れません。
しかし最初にご紹介した、「アパートに比べてマンションの空室率は低い」というデータから比較すると、上図データは意外な事実と言えますね。
ではアパート経営における空室リスクを回避するには、具体的になにを意識したらよいカニ?
アパート経営の空室リスクは「賃貸ニーズ」と「差別化」で回避!
今までのデータや入居者ニーズの考察から、「マンションに比べてアパートは空室だらけ」というイメージが間違いであるのがおわかりいただけたかと思います。
アパート経営に限らず賃貸事業の空室リスクは、たとえ満室でも意識しなければいけません。
実行できるものから実践して空室リスクを回避しよう!
「清掃」がアパート経営の空室リスクを下げる!?
コストをかけない空室対策ができるなら、やらない手はないですよね。
空室対策の第一歩がアパートの清掃。
アパート経営に成功している大家さんの多くは、清掃の大切さを実感しています。
専有部分はもちろん、共有部分にいたるまで大家さん自身で清掃できる部分は決して少なくありません。
掃除は、入居者や建物に変わった様子がないかチェックできるのもメリット。
清掃は入居率をアップさせるための基本と考えましょう。
なお清掃をプロに依頼する場合は、注意点なども把握しておかなければいけません。
アパート経営における清掃について詳しく解説していますので、こちらの記事もぜひご覧になってみてください>>手抜きはNG!掃除は重要な空室対策!方法とポイントを解説
「モデルルーム」も空室リスクに対して有効な対抗策!
「このアパートに住みたい! 」と思われるには、そのアパートにどんな人が住んでほしいかをイメージするのが大切。
そこで、アパートの内見ではまだあまり普及していないモデルルームの設置を検討してみましょう。
モデルルームを設置するメリットは以下のとおりだよ!
- ライバル物件との差別化が明確
- 内見候補に入れてもらえやすい
- 入居者が生活をイメージしやすくなる
- 仲介業者も案内したくなる
効果的なモデルルームをつくるため、以下記事では家具の選びかたやポイントなど詳しく解説しています>>モデルルームで空室対策!家具など6つのアイデアで空室期間を1/3に短縮できる
単身用のアパート経営は「時代に合った設備」が大事!
ファミリー層よりも入退去のサイクルが多めの単身用部屋だからこそ、正しい空室対策のために見なおすべきポイントがあるかもしれません。
前述のとおり、単身入居者が本当に必要としている設備は入居者の声を聴くのが正解。
調査データや入居者からの要望に対し、所有アパートが賃貸ニーズを満たしているか確認しましょう。
アパート経営の空室リスクに関するリフォームについて、以下記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください>>1Kワンルームの空室対策!単身者【人気リフォームランキング】大家さんが見直す3ステップ
結局「サブリース」がアパート経営の空室リスクに有効!?
長期間の空室は大家さんにとって死活問題。
そんなときだからこそ、サブリースの検討をしてみてはいかがでしょうか。
世間では、デメリットの部分ばかりクローズアップされているサブリース。
しかし長期間の空室があっても家賃保証により収入がある仕組みは、大家さんにとって大きなメリットです。
不安や疑問の多い大家さんのために「あぱたい」では、客観的にみた有力なサブリース専門会社を紹介しています。
以下記事にてサブリースの基本的な仕組み、注意すべきポイントなど詳しく解説していますのでぜひご覧ください>>空室対策にサブリースを活用【おすすめ会社5選】意外と知らないリスク回避3つの方法
まとめ
マンションとアパートの定義は法律で決められているわけではなく、線引きは曖昧です。
仮に木造をアパート、非木造をマンションと定義したとしても、マンションとアパートにはそれぞれの魅力があります。
ただマンション経営に比べてアパート経営は、入居者との距離感が近いため空室対策になにが必要か早期に気づけるのがメリットです。
空室がある限り、空室リスクにつながる原因はかならず存在します。
空室リスクを回避するために改善すべき点は早めに対策し、いつまでも現役のアパート経営を目指しましょう!