アパート経営が失敗する【7つの理由】失敗大家の共通点からわかった5つの対策法

アパート経営に興味があるのに、失敗が怖くてスタートできないという人は案外多いものです。
でも事前に失敗する原因と対策法がはっきりしていればどうでしょうか。やらない理由はありませんよね。
今回「あぱたい」では、アパート経営が失敗する7つつの理由とその対策法について、詳しく解説していきます。アパート経営に一歩踏み出すお手伝いになれば幸いです。
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アパート経営が失敗するってどういうこと?
アパート経営が失敗する理由と対策法を解説する前に、まずは「アパート経営の失敗」とはどういう状況なのかを明確にしておきましょう。
- 空室が増えて家賃収入が減る
- アパートローンの滞納
- 借金を背負い、アパートを売却
1.空室が増えて家賃収入が減っていく
アパート経営失敗の第1ステップは、空室の増加です。空室が増えれば予定している家賃収入が入らず、ローン返済に影響が出る可能性があります。
引用:総務省統計局 平成 30 年住宅・土地統計調査 図2-3 建て方別空き家数の推移 -全国(昭和53年~平成30年)
総務省統計局の調査によると、2008年(平成20年)までの30年間に、共同住宅の空き家は336万戸も増加しました。2013年(平成25年)から増加率は縮小傾向にありますが、それでも共同住宅の空き家総数は475万戸と依然高いままです。
2.ローン返済の滞納
空室増加により家賃収入の減収が慢性化すれば、次に起こるのは「アパートローンの滞納」です。極端な話、ローンの返済さえきちんとできていれば、アパート経営は継続できます。
ですからアパート経営の失敗とは、すなわち「ローンの滞納」であるとしっかり理解しておいてください。
ローンの滞納がつづけば、まず6か月後に「期限の利益損失」が確定します。
そして期限の利益損失後には、保証会社から銀行へローン残高が補填されます。ここまで来たらいよいよ最終段階です。
3,アパートの売却
保証会社から銀行へ残金補填することを「代位弁済」といいます。代位弁済後は保証会社から借主へ一括で請求がきます。この状態まで進んだら通常一括で返済はできません。アパートの競売、もしくは任意売却でアパート経営は終了です。
しかし、せっかくスタートしたアパート経営。できれば失敗せずに長期間経営をつづけたいですよね。
アパート経営失敗7つの理由
アパート経営で失敗する7つの理由のうち5つは、幸いなことに対策法があります。
1.立地条件の悪さ
アパート経営が成功するかどうかは、立地条件がすべてといっても過言ではありません。特に駅からの距離はもっとも重視されます。(地方の場合はバス停や駐車場の有無)
2016年におこなわれた「CHINTAI」のアンケートによると、駅から10分以内のアパートに住みたい人は、なんと約70パーセントという結果に。
参考:CHINTAI情報局 駅徒歩何分の物件なら住みたいと思える?
【アパートを選ぶ際に重視される主な立地条件】
もちろん、年齢や家族構成などで重視する条件は変わってきます。いずれにしても悪い立地条件は築年数が古くなると影響がより強くなります。
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アパート経営の立地選びに必要な8項目【立地が悪いのに満室になる土地の共通点】
2.経年劣化による家賃の値下げ
経年劣化による家賃の下落も大きな問題です。2018年の新築賃貸アパート建築数は約39万戸。徐々に経年劣化していく自分のアパートと毎年増えつづける新築アパートとで、常に入居者確保の競争をしなければなりません。
総務省統計局では、賃貸住宅の経年劣化による家賃の下落率は年に1%と試算しています。よほど立地条件に優位性がない限り家賃の下落は避けられず、経営を圧迫していくでしょう。
3.高額な維持費・修繕費用
アパートはおおよそ15〜30年周期で、大規模な修繕工事が必要です。通常、修繕工事に必要なお金は、毎月の積立金で準備をしています。しかし、総額で1棟(木造1K10戸)約1,740万円かかる試算もあり、かなり大きな負担です。
また軽微な修繕や設備機器の修理が突発的に発生した場合、積立金ではまかないきれずにキャッシュフローが劇的に悪化する危険性があります。
修繕費用に関して詳しく知りたい場合はこちらの記事をどうぞ。
【アパート経営にかかる修繕費の目安】屋根等15の費用と築30年アパートの試算
4.家賃滞納リスク
じつは今回紹介する5つの原因のなかでも1番タチが悪いのが、この「家賃滞納リスク」です。
理由はふたつ。
- 家賃回収までに時間がかかること
- 滞納でも税務上は売上として計上しなくてはならないこと
極端な話、空室は入居者をみつければ解決です。しかし、家賃滞納の場合は解決までに通常6〜10か月はかかります。
保証会社を利用していればまだ手続きは楽ですが、自主管理の場合、最悪弁護士に依頼が必要です。費用も50万円は用意しておかなくてはなりません。
また、数か月滞納がつづいた場合でも、会計上、家賃が入ったものとして売上に計上します。あとで損失計上精算できるにしても、いったん滞納分も含めて税金を払うようになるのです。
5.急激な金利上昇
アパートローンは固定金利と変動金利のどちらで借りるのが正解なのでしょうか。
例えばきらぼし銀行の場合、変動金利は2.475%。対して20年固定金利は3.15%です。(2019年9月1日)
変動金利には、常に金利上昇リスクがつきまといます。しかし今現在、史上稀にみる低金利ということもあって、変動金利を選ぶ人が多いです。
金利はあとから固定金利に変更することも可能ですから、最初に変動金利を選ぶのは非常によい選択といえます。
しかし、金利の変更時期を見誤ると、金利上昇のダメージをもろに受けてしまいます。
アパート経営をトラブルなく継続するには、世の中の流れをしっかりと見据えて決断をくだす必要があります。いくらこまかい対応を頑張っても、そもそもの前提が間違っていたらうまくいきません。
6.増え続けるアパート
まずは今現在、アパートの数が適正かどうかをみてみましょう。
引用:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査 図4-1 住宅の建て方別住宅数の推移 -全国(昭和53年~平成30年)
2018年(平成30年)の共同住宅数は2,334万戸。住宅数の伸びをみると、2013年(平成25年)から126万戸(5.7%)増加していると総務省統計局のデータでわかります。
驚くべきはその増加率で、1988年(昭和63年)から2018年(平成30年)までの30年間に、なんと2倍以上に。
直近ではアパートの新築着工数は減少しているとはいえ、まだまだ増加傾向はつづいています。さらに前述のとおり、共同住宅の空き家総数は475万戸にものぼります。
つまり、今現在の状況は、入居者が減っているのにどんどんアパートが増えているということです。
そして、残念ながら個人の大家さんができる対策はありません。
7.人口減少による賃貸ニーズの減少
引用:内閣府 第1章 高齢化の状況(第1節 1)図1-1-3
内閣府のデータによれば、日本の人口はすでに減少期に突入。2053年には9,924万人と1億人を割り込むことが確実視されています。
これだけのスピードで人口が減っていくわけですから、アパートを借りたい人も減少するのは明らか。
ただし、人口は減少しても世帯数はあまり変化がなく、逆に単身世帯は増加する見込みです。ですからいきなりアパート入居者が激減するわけではありません。
いずれにせよ、今後入居者ニーズの拡大はないと考えておくべきです。
増加するアパート同様、大家さんでできる対策はありません。
アパート経営で失敗しない5つの対策法
アパート経営は、しっかりと対策をおこなうことで、失敗の確率を限りなくゼロに近づけることは十分可能です。
1.周辺地域のリサーチを徹底的におこなう
立地条件の悪さはアパート経営においては致命的。事前に周辺地域のリサーチを徹底的におこなうことで解決できます。
ただし、立地条件を選べるのは物件を手にする前だけです。購入(建築)前に、とにかく慎重に計画を立ててください。
数ある立地条件のすべてをクリアーすることは、無理があります。「駅が近い」「コンビニまですぐいける」「静かな住環境」など、優先する条件をある程度絞ることも必要です。
また相続した土地でアパート経営を考えている場合は要注意です。その土地がアパート経営に適しているとは限りません。その際は思い切って別の土地活用(駐車場やコインランドリーなど)も考慮すべきです。
2.初心者大家は新築物件が狙いめ
新築物件は初期投資額が大きい割に、建物価値の下落が大きい傾向があります。ですから、初心者は築浅の中古物件が経営しやすいと一般的にはいわれています。
しかし、経年劣化による家賃の下落リスクに対しては、思い切って新築物件を選ぶのも有効です。新築の場合、固定資産税が大幅に軽減されるメリットもあります。
また、さすがに新築は初期投資が大きすぎるというのであれば、程度のよい中古物件の大規模なリフォームという手も考えられますよね。
3.修繕計画はしっかりと
大規模修繕工事費用の目安は、前述のとおり1棟(木造1K10戸)約1,740万円です。しかし、これはあくまでも目安でしかありません。物件ごとに工事内容と費用は変わってきますから、必ず見積もりを取りましょう。
その際は、平均的な金額を把握するためにも、必ず複数の業者から見積もりを取ってください。
またイレギュラーな修繕・修理工事は必ず発生するもの。毎月の積立金ではフォローしきれない場合もあるでしょう。そういったときは、リフォームローンの利用もいい方法です。
ただし、すでにフルローンなど限度額まで目一杯借り入れをしていると、いざというときにリフォームローンが利用できません。
事前に無理のない借り入れ計画を立てておくことが、うまく修繕工事を乗り切るポイントです。
【おすすめリフォームローン】
イオン銀行のリフォームローンは、2.45%という低金利で最大500万円まで借り入れが可能です。大手都市銀行と比べて借り入れしやすいのが魅力。
画像引用:イオン銀行 リフォームローン
4.よい管理会社を選ぶ
家賃滞納に関しては、まずアパートの管理を依頼している管理会社と「集金代行契約」をきちんと結んでいるかを確認してください。大家が自主管理している場合は、そもそも管理会社に家賃滞納回収の義務はありません。
一口に管理会社といっても、滞納家賃回収の得手不得手もあります。なるべく家賃回収に実績のある管理会社を選びましょう。
また、よい管理会社を選ぶのと同時に、下記のような滞納が起きにくい仕組みをつくることも非常に重要です。
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なかでも「2.保証会社を義務づける」方法は、とても効果があります。滞納した家賃は保証会社が大家へ補填してくれますから、大家は安心して部屋を貸せるわけです。
5.ゆとりのある資金計画
金利変動リスクの対策は、とにかくゆとりのある資金計画を立てることに尽きます。
アパート経営が失敗するのは、結局のところ、ローンの滞納しかありません。滞納を回避するには、決して「無理な借り入れをしない」ことです。
限度額いっぱいの借り入れでは、家賃収入が下がった場合や金利が上昇した際に対応する余力がありません。
まとめ
アパート経営の失敗を防ぐためには、まずは失敗する5つの理由をきちんと知っておくことです。
- 立地条件の悪さ
- 経年劣化による家賃の値下げ
- 高額な維持費・修繕費用
- 家賃滞納リスク
- 急激な金利上昇
理由がわかれば次は対策法です。
- 周辺地域のリサーチを徹底的におこなう
- 新築物件や的確なリフォームで物件の価値を高める
- 修繕計画をしっかりと立てる
- よい管理会社を選び、場合によっては保証会社を活用する
- ゆとりある資金計画に沿ったアパート経営
失敗の原因と対策法をきちんと理解していれば、アパート経営を過度に怖がる必要はありません。まずはしっかりと計画を立ててみましょう。