アパート経営は危ない?不動産投資を成功させる12のリスク回避術

アパート経営は危険、リスクが高いという口コミや情報はたくさんあります。
アパートを資産運用のひとつとして選択しようとしているかたへ、今回の「あぱたい」ではあえてリスクについてお話しします。
リスクやデメリットをよく知り対策を講じることは危険を回避するため、とても重要なポイントです。
物件選びから運用管理まで、様々なシーンでのリスクとその回避術をマスターしていきましょう。
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アパート自体がリスクであると理解する
不動産投資はメリットが多い投資ですが、デメリットやリスクも多く含んでいるのを忘れてはいけません。
不労所得として、何もしなくても収入を得ることができる、不動産屋はプロだから任せておけば安心と思われがちですが、選択を誤ると大きな損失につながります。
まずは、どのようなリスクがあるのか確認してみましょう。
【リスク1:高額投資】新築アパートは失敗の可能性が高い
アパート経営は、新築は避けるべきだとメディアなどでよく言われています。
新築のほうが、入居者募集がしやすく最新の設備でわかりやすく販売されているので、初心者でも安心な気がしてしまいます。
しかし、新築は建てて契約して登記した瞬間から価値が下がっていくものです。
新築時は「新築プレミアム」と呼ばれる現象で相場の家賃より5%から10%高い家賃設定が可能かもしれません。
ですが、次の募集ではもう新築ではなくなっているので、同じ家賃設定では募集しずらくなります。
元々が中古物件に比べ販売価格が高く、高額な投資になるので、家賃が徐々に下落していくのは収支計画に狂いが生じるリスクが高くなるので注意が必要です。
こちらの記事でもアパート経営のリスクについて説明しています>>アパート経営は見直しでリスク回避【支出や経費等4つのポイント】おさえておく失敗しない節約術
「物件探し」の時点で成功と失敗が決まる
新しくアパート運営を始める場合は、まずは物件を探すことになります。
不動産屋にお願いをし、なるべく良い条件の物件を買いたいと様々な情報を収集しますが、ここでも決断を間違えると失敗の原因となります。
物件探しで失敗しないためのポイントをチェックしていきましょう。
【リスク2:立地】賃貸需要をしっかり見極める
賃貸アパートの経営は、お客様が入居し家賃が入り初めて成功します。
たとえば賃貸経営の初心者が選びがちなのが、大学や工場の近くのワンルームマンションです。
このような環境の場合は、地方からひとり暮らしをしながら進学や就職をするパターンも多いので需要があると思いがちです。
しかし、将来的に移転や撤退をしてしまうと非常に経営が厳しくなります。
中古の物件を購入する場合は、前オーナーさんにヒアリングをし、近隣の賃貸を扱う不動産屋さんにもヒアリングをして需要の傾向をつかんでおきましょう。
【リスク3:知識】情報は営業マンからではなく自分で勉強
不動産投資の成功例の多くは、自分で考え、勉強したケースです。
不動産の営業マンは、とても物件に詳しく頼りになるように感じます。
しかし、不動産屋の収入は土地建物を販売して得る手数料です。
売るためには「買いたくなる情報」を優先してセールスをし、法律に違反していなければ責任を取ってくれることはありません。
つまり、損失が出ても他人事です。利回りや周辺相場を教えてくれますが、必ず自分で調べ理解をしておくようにしましょう。
たとえば以下のようなことを調べて、理解しておくことをおすすめします。
- キャッシュフロー(収支)のシミュレーション
- 各種法令や税金に関する知識
- 周辺の賃貸需要と空室対策
など……
自分で理解しておくと危険回避につながり、相手との対話もスムーズに進みますよ。
とはいえ、誰だってはじめから信頼できる不動産屋に相談したいですよね。
そんなかたにおすすめなのが「イエベスト」。
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「物件購入」の前に確認すべき重要なポイント
物件が見つかったら、購入前、契約をする前に確認するべきことがあります。
主に、どのような収支でどのくらい利益が得られるかを確認していく作業になります。
申し込みから契約まで、実際はせかされることも多くありますが、しっかりと見極めていきましょう。
【リスク4:キャッシュフロー】絶対やるべき収支シミュレーション
収支シミュレーションはやらないと失敗確定と言えるほど重要なプロセスです。
まずは、購入のひとつの判断基準となる利回りについて計算してみましょう。
表面利回り(%) = 年間の総収入÷総投資額×100
実質利回り(%) = (年間の総収入-経費)÷総投資額×100
募集時に記載されている利回りは、ほとんどが表面利回りになります。
実際は建物の管理などに出費があるので、その経費を引いた利回りで判断しなければなりません。
収入面
- 家賃の下落や空室を加味し試算し、年間の家賃収入を計算します
- 礼金や更新料も収入に含める場合もありますが、近年は競争が激しいので礼金を無料にして募集するケースも多くなっています
支出面
- 年間家賃収入の10%から30%の管理の割合が大きく占めます
- 管理費、修繕費、固定資産税などのほかにも、募集時にうまく入居者が集まらなければ、仲介業者に支払う広告宣伝費が必要になるケースもあります
さらに、大規模修繕に向けた積立も考慮しておくと安心です。
もうひとつの支出が、借り入れの返済です。不動産投資をする場合は金融機関から融資を受けることが多いと思います。
長期間の返済になるので金利などをしっかり確認しておきましょう。
融資先からは完済までの返済シミュレーションをもらえることが多いので、必ず収支に組み込んでおく必要があります。
関連記事
築年数の古いアパート経営が厳しい8つの現実【暴露】キャッシュフロー改善3つの裏ワザ
【リスク5:家賃下落】必ず起きる収入減は予め想定しておく
収入減はあらかじめ想定しておかなければ、予定外に収入が減るだけではなく、融資を受けている場合は返済ができなくなるという地獄の状態になることがあります。
特に、新築を建てた、新築を購入した場合は家賃設定を不動産屋に任せると「新築プレミアム」と呼ばれる相場より10%ほど高額な家賃設定になっている場合があります。
ご存知の通り、新築時の家賃はずっと続くわけではありません。
2年目、3年目は築浅となり、エリアがよく人気があれば新築時の家賃を維持できる可能性もあります。
一般的には、木造アパートであれば3年目で5%、5年目で8%、10年目で10%以上家賃が下がります。
建物の管理や修繕状況、メンテナンスの状態によっては、10年目以降はもっと値下げしなければならないこともあるので注意しなければなりません。
逆に言えば、管理やメンテナンスをしっかり行っていれば、家賃の下げ幅を少なくすることもできるでしょう。
【リスク6:ローン】少しでも有利な融資条件を引き出す
アパートローンは自宅を購入する際に利用する住宅ローンとは違い、金融機関は貸し倒れを防ぐためやや審査が厳しく金利が高く設定されています。
適用金利は、金融機関のプランや担保にできる不動産の有無で変わってきます。
物件を購入するときは、ローンの仮審査などを担当している不動産屋に任せることが多いです。
しかし、金利や返済期間などをよく理解し選ぶことは金利上昇の際の備えにもなります。
いろいろな金融機関の情報を収集し有利な融資を受けられるような選択をしましょう。
ローンを組む際はもう1点注意しなければならない点があります。
ローンを組むと毎月返済をしなければなりません。
「元金+利息」が毎月の返済額になります。
一方、物件を購入すると年々価値が下がっていくととらえることができ「減価償却」の計上が可能です。
この減価償却の費用が、借り入れの元金が上回ることを「デッドクロス」と呼びます。
銀行のローンに関しては帳簿上は元金の計上ができず、計上できるのは利息のみです。
そのためキャッシュ不足なのに黒字状態になり、所得税が多額になる事態が起こります。
デッドクロスを回避するためには、陥った時点で借り換えを行いローン期間を延長することで、毎月の返済額を減らすことが可能です。
ローンを組むときは、返済方法が以下のような方法になります。
- 元利均等返済
- 元金均等返済
デッドクロスを生み出す可能性が高いのは、元利均等返済です。
毎月の返済額は一定ですが、支払う元金が上がります。
元金均等返済の場合は、毎月の元金が一定で徐々に利息が減っていきます。
元金均等返済を選ぶことで、デッドクロスを事前に避けることが可能です。
「運営・管理」が資産価値を維持する
契約が済み、所有したらアパート運営が始まります。
所有し続け利益を出す、または出口戦略として売却をするためにも管理体制が大きなポイントとなります。
管理についてのリスクをチェックしていきましょう。
【リスク7:管理】パートナーとなる管理会社はよく検討する
賃貸運用がスタートしたらパートナーとなるのは管理会社です。
管理には2種類あり、入居者管理と建物管理があります。
ずさんな管理をされてしまうと資産価値の低下にもつながるので、信頼できる会社を探さなければなりません。
管理方法のひとつとして、サブリースや家賃保証などを進められる場合もありますが、立地が良く賃貸需要もあれば必要ないケースもあります。
管理はコストのかかることなのでよく比較検討をして、管理会社と契約をしましょう。
【リスク8:空室】空室対策は収入と資産価値の維持に繋がる
空室が多いと、家賃収入が低くなってしまうだけでなく、資産価値の低下につながります。一度空室が多くなり、そのまま入居者が入らないと紹介する不動産屋は「あまりよくない物件ではないか?」と警戒してしまいます。
見学に行っても決まらない可能性を考えると、必ず決まる人気の物件を優先的に紹介することが多いです。
また、売却を視野に入れている場合は、空室が多いと販売価格に影響します。
建物の修繕メンテナンスだけでなく、入居者の募集にも細心の注意を払う必要があります。
【リスク9:入居者】トラブルは管理会社との連携で回避
入居者トラブルは賃貸にはつきものです。
アパートは音が伝わりやすく、様々な生活スタイルの入居者が集まるので騒音クレームなどが起こりやすいものです。
隣がうるさいと言われたときに、隣の入居者に「隣からうるさいと苦情が来ています」と注意してしまい、入居者間で大きなトラブルに発展した例もあります。
入居者対応は経験が必要です。
無理に一人で対応せずに管理会社と連携しながら運営していきましょう。
【リスク10:災害・事故】万一に備えた保険加入は必須
あまり頻繁に起こることではありませんが、災害や事故が起こった場合は緊急性があり、かつ大きな金額が必要です。
補償内容に関しては火災や震災だけでなく、これからは高齢者も増えてきているので孤独死などの死亡事故にも備える必要があります。
孤独死の場合は遺族と連絡がつかないことも多く、部屋の片づけや修繕に多額の費用が掛かり、大家さんが負担しなければならないケースも増えています。
保険に加入する場合は、そのようなケースもカバーできるような補償内容の保険を選ぶと安心です。
「出口戦略」こそ不動産投資のゴール
不動産は所有し続けることもできますが、将来的にどのように運用していくか、または売却するのかがとても重要になってきます。
将来しなければならない決断についてピックアップしてみましょう。
【リスク11:老朽化】不動産の価値は管理で決まる
不動産の大きなリスクのひとつとして、老朽化があります。
外観が古く、設備が古い賃貸は家賃を下げて募集することが多くなり、そうすると質の良い入居者を選べなくなり、賃貸としてのグレードが低くなります。
入居希望者が見学に来た時に、一番印象に残るのは外観です。
外観が手入れが行き届いていないと入居者の募集は非常に苦労することになります。
大規模修繕などでメンテナンスをすることで劣化は防げるので、毎月管理費用として修繕費は計画的に積み立てておきましょう。
【リスク12:売却】無理に持ち続けず売る勇気を持つ
既に運営していると、所有している不動産は愛着があり、なかなか売却に踏み切れないものです。
上手く運営できていると手放したくなくなるかもしれません。
しかし、エリアの賃貸市場の雲行きが怪しいと感じたときや、管理にコストがかかり手に余ってしまっている場合は、リスクが生じる前に売却することで赤字を防げます。
マイナス資産になってからでは、焦ってしまい希望通りの金額での売却が難しくなることがあるので注意が必要です。
実際、焦って売却しようとしているかたは大手の不動産屋へ売却をお願いしても、仕入れ業者を客付けされ安値で取引を迫られることが多くあります。
売却は出口戦略のひとつなので、余裕をもって計画するようにしましょう。
出口戦略について、こちらの記事でも解説しています>>アパート経営で必要な売却のタイミングは?消費税等を考慮する4つの出口戦略
アパート経営ならではのメリットもある!
今までリスクについて考えてきましたが、やはり不動産投資はメリットの多い投資でもあります。
最後に、アパート経営の魅力について5つ、ご紹介します。
土地という永久的な資産を持てる
アパート経営の一番の魅力は、土地を所有できる点です。
土地神話の崩壊などメディアで報じられることも多いのですが、収益物件を建てたり、駐車場などで活用したりと資産価値はまだまだ十分にあります。
金銭や物の資産と違い、土地は短期間で大きく価格が変わったり価値がなくなることはありません。一定の安定した資産として評価されているので相続をすることで、将来的に家族に残し、資産活用の足掛かりにすることも可能です。
自動販売機や駐車場といった副収入が得られる
アパートの敷地内にスペースがある場合は、家賃収入以外でも副収入を得ることが可能です。
建物前などで駐車場を作り、月極や時間貸しで運用することもできます。
また、アパートの周りにコンビニエンスストアなどがない立地の場合は、自動販売機を設置することで収入を得ることができます。
自動販売機設置には、メーカーによりシステムが異なりますが、代表的に2パターンあります。
- フルオペレータータイプ…土地を貸し、自動販売機を設置してもらう。メーカーが補充などを行い、売り上げの15~20%が収入になる
- セミオペレーションタイプ…自動販売機をリースして、飲料の仕入れや補充を自分で行う。売れた分だけ収入がある
自動販売機の設置に当たっては、導入費用や電気代などの負担がある場合もあります。
メーカーとよく確認をしてから検討するようにしましょう。
マンションにはないカスタマイズ性
アパートは、マンションのように全体で守らなければいけない規約がないので、大家さんの個性を出すことが可能です。
DIY感覚で内装などを楽しくカスタマイズすることも可能になります。
もちろん、入居者募集の強みになるようなカスタマイズが理想的です。
一般的に入居者の幅を狭めてしまうような内容や、好き嫌いがはっきり分かれてしまう内装は避けるべきと言われています。
しかし、現状、賃貸物件は飽和状態なのでペットにやさしいフローリングを使用したりするペット共生住宅や、厳重なセキュリティを売りにした女性専用アパートなどは人気が高くなっています。
エリアや需要を鑑み、工夫しながら物件づくりをするのもおすすめです。
リスクとコストのコントロールが自由
区分所有のマンションでは、管理費は固定されています。
そのため、収益としては増減幅がなく一定です。
一方アパートは管理の体制を自分で見直すことができ、コストのコントロールが効きます。
最初は管理会社と一緒に管理することが多いのでコストがかさみますが、慣れてくれば自分で対応できることも増えコストの削減ができます。
また、マンションなどでは管理規約によって「事務所使用不可」など空室募集にデメリットが生じる可能性が高いです。
アパートはそのような縛りがないので、空室のリスクを抱えそうなときは自己判断で決定し、空室リスクに対処することができます。
空室リスクが分散できる
区分所有でマンションを1室だけ所有していると、空室になってしまうと収入がなくなるリスクが高くなります。
アパートの場合は、一度に複数の部屋を所有するため、もし空室が出てもその他の部屋の家賃で収支をカバーすることが可能です。
しかし、収支計画をしっかりと立て、何部屋以上の空室で赤字になるか理解し、日ごろから対策を立てなければなりません。
賃貸には「空き年」が発生することがあり、退去が重なり複数の部屋が空室になるタイミングが起こることがあります。
そのようなことに備えるためにも、解約届が出たらすぐに募集の準備に入る、周辺状況を見て場合によっては広告費を上乗せするなどの対策も必要になってきます。
空室のリスクは人気設備導入でも対策可能です>>アパート経営に無料Wi-Fiインターネット【大家の感想付】宅建士が5つのポイントを解説
まとめ
アパート経営は魅力的な投資ですが、高額な投資になるためリスクもあります。
しかし、リスクを理解し対策を講じることで成功へ近づくことが可能です。
多くの情報を得て、失敗しないアパート経営にチャレンジしていきましょう。